近年、日本人の死因の1位はがんですが、動脈硬化が原因とされる心疾患は2位、脳血管疾患は3位と、いずれも上位となっています。
動脈硬化の予防として、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪をコントロールすることは、広く認識されており、検査も保険適応として実施されています。
それにもかかわらず、動脈硬化が原因の疾患は、年々増加の一途を辿っているのです。
つまり、動脈硬化を防ぐには、LDL(悪玉)コレステロールに注意するだけでは不十分であると言えるのです。
もちろん、動脈硬化の指標として、LDL(悪玉)コレステロールは重要な項目です。
しかし、LDL(悪玉)コレステロールは、身体の細部にコレステロールを運搬する重要な役割を担っており、LDL(悪玉)コレステロールのすべてが動脈硬化の原因となるわけではありません。
動脈硬化の原因として注目すべきなのは、酸化してしまった、さびついたLDL(悪玉)コレステロール、「酸化LDL」なのです
。
前述したように、LDL(悪玉)コレステロールは、身体の細部にコレステロールを運搬する役割を担っているのですが、同様に、酸化LDLも身体の細部に運搬されてしまいます。
酸化LDLは、LOX-1(※1)と結合し、血管内に慢性的な炎症状態を引き起こし、動脈硬化の原因となるのです。
LDLが酸化変性を受けてから血管内皮に作用するメカニズムが明らかになったことは、動脈硬化の原因を把握し、動脈硬化を予防するという点で極めて重要です。
※1:LOX-1(Lectin-like oxidized LDL receptor-1)
外敵や異物を認識する受容体の一つで、酸化LDLを異物として認識し、酸化LDLと結合します(上図参照)。
LOX-index検査(ロックス・インデックス検査)は、脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを評価する最新の指標です。
LOX-indexとは、血清中のsLOX-1(※2)の測定値にLAB(※3)の測定値を乗じた指数です。つまり「LOX-index = sLOX-1×LAB」という式で表されます。
日本国内で行われた、約2400名を最長11年間にわたり追跡調査したところ、以下の結果が得られました。
- LAB値が高い人ほど脳梗塞を含めた脳卒中と冠動脈疾患を発症する危険度が高かった。
- LOX-indexが高い人のグループでは、脳梗塞発症の相対危険度(※4)が非常に高かった。
この研究により、LOX-indexは、血管の状態を反映し、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症リスクを予測する有用なマーカーであることが示されました。
LOX-index(ロックス・インデックス)検査は、これら2つの疾患のリスク評価が可能な、現在唯一の検査です。
検査は採血(約4ml)で行います。
検査結果がでるまで、約2週間程度かかります。
※2:sLOX(可溶性LOX-1)
血中に放出されたLOX-1のことを指す。
※3:LAB(LOX-1 ligand containing ApoB)
酸化LDLのことを指す。
※4:相対危険度
この場合LOX-indexと疾病発生との関連の強さを示す指標。