レスベラトロールをご存知ですか?
『長寿の切り札』と言われているポリフェノールの一種ですが、最近では、がんに対する作用やアンチメタボの効果なども報告されており、大変注目されている成分です。
フランス人が乳脂肪や動物性脂肪が多い生活を送っているにもかかわらず、他の先進国に比べ心臓疾患による死亡率が極端に低いという現象のことをフレンチパラドックスといいます。その理由が、赤ワインに含まれるポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質にあるというのをお聞きになったことのある方も多いでしょう。現在ではさらに、そのポリフェノールの一種のレスベラトロールにこそ、フランス人の心疾患による死亡率が低い理由のひとつであると考えられています。
昔より、「腹八分目」と言われるように、カロリー制限による寿命延長効果については世界中の医師、科学者が最も注目する研究テーマの一つです。
実際、さまざまな種で研究が行われ寿命延長効果が実証されていますが、ヒトと同じ霊長類のサルで初めて証明されたのは、ごく最近、2009年のことです。
カロリー制限をすることで長寿遺伝子である「サーチュイン」のスイッチがonとなり寿命が延長するといわれています。
“Caloric Restriction Delays Disease Onset and Mortality in Rhesus Monkeys.”
(Science. 2009 Jul 10;325(5937):201-4.)
サーチュインをonにする方法としては、
- カロリー制限
- 運動
- レスベラトロールの摂取 など
が挙げられます。
レスベラトロールは、赤ワインの原料になるブドウ果皮に多く含まれる強力なポリフェノールの一種です。その抗酸化作用はビタミンCの数百倍もあるといわれています。
レスベラトロールは、酵母や、線虫やショウジョウバエなどの下等動物、魚の寿命を延長させることが知られています(酵母にレスベラトロールを加えた実験では、酵母の寿命を70%も延長することができました)。最近では、人間と同じ哺乳類のマウスに対しても寿命の延長をもたらすことが証明されました。
レスベラトロールには、肥満による合併症を減らし、寿命を延ばす効果があります。
マウスを通常食群と高カロリー食群に分け、高カロリー食群のマウスの半分にレスベラトロールを投与しました。
その結果高カロリー食を摂ったマウスでは、通常食マウスと比べ以下の症状が認められました。
- 体重の増加・肥満
- 寿命の短縮
- 運動能力の低下
- インスリン抵抗性の増加(糖尿病になりやすい)
- 脂肪肝
ところが、高カロリー食とともにレスベラトロールを摂ったマウス群では、体重の増加は見られたものの、そのほかの点は通常食群のマウスとまったく同じで、高カロリー食群に見られた寿命の短縮、運動能力の低下、インスリン抵抗性の増大、脂肪肝、各検査の異常等は見られませんでした。
つまり、レスベラトロールによって、肥満に伴うさまざまな異常が妨げられたのです。
また遺伝子解析により、高カロリー食の影響によって生じる変化のほとんどは、レスベラトロールにより抑えられることも示されました。
これまでの研究で、レスベラトロールには以下のようなさまざまな効果があることが報告されています。
- 寿命延長効果
- アンチメタボ効果
- 動脈硬化予防
- 抗がん作用―最近では乳がん予防効果についても報告されています。
- 酸化ストレスによる脳機能低下を抑制
- 糖代謝改善
- 認知症予防
- 眼の病気の予防 など
これらの結果は、すべて人間に当てはまるとは言えませんが、メタボリック症候群などの肥満関連障害や加齢に起因する疾患の治療の新しいアプローチを示すものとして、レスベラトロールが世界中で注目され、現在、さらなる研究が続けられています。
レスベラトロールが、男性のED(勃起不全)を改善する効果があるという動物実験の結果を、大阪大学の研究チームが発表しました。
大阪大大学院の研究チームは、糖尿病を発症させてEDにしたラットに、レスベラトロールやED治療薬を4週間投与しその後の勃起機能を調べました。
その結果、正常なラットの勃起機能を100%とすると、何も与えなかったEDのラットは20%、レスベラトロールだけを与えたラットでは80%、そして、ED治療薬だけを与えたラットでは70%、さらに、レスベラトロールとED治療薬を併用したラットでは、120%と正常なラットの勃起機能を上回りました。
研究チームでは糖尿病によるEDだけでなく、心因性などのEDでも効果があるとみているということです。
放射線被ばくにより体内に発生したフリーラジカルは、生体の分子を酸化(さびつかせる)し、細胞や遺伝子を損傷します。当然のことながら、ヒトによる被曝実験はありませんが、マウスではレスベラトロールが放射線障害を予防することが示されています。
コロラド州立大学で2008年に行われた研究では、マウスを、(1)まったくなにもしないグループ (2)放射線被ばくだけのグループ (3)レスベラトロール投与だけのグループ (4)放射線被ばく前にレスベラトロールを経口投与するグループの4つに分けて、骨髄細胞の染色体異常数を比較したところ、レスベラトロール投与により、放射線による染色体異常の頻度が統計学的に有意な差をもって減少していました。
Resveratrol Reduces Radiation-Induced Chromosome Aberration Frequencies in Mouse Bone Marrow Cells
(Radiat Res. 2008 June ; 169(6): 633–638.)
サプリメントとして摂る場合は、トランス型レスベラトロールの量が多いもの を選ぶようにしてください。
総レスベラトロール量で表記されているものもありますのでお間違えのないようご注意ください。
1粒あたり12.5mg、1日4粒で50mgのレスベラトロールが摂取 が可能です。
クリニックにお電話(03-3237-0072)もしくはメール(info@kenko.org)をいただき、症状などをお伺いした上で、ご来院いただかなくても処方することが可能です。