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2006年07月18日

閉経後の生活も、自分でコントロールしよう ~ パートⅠ ~

閉経後の歳月も、自分次第で活気のある楽しい時間にすることができます。多くの女性は、閉経後も新しい興味を持ったり、新しいことにチャレンジしたり、新しい友人を作ったり、交友や家族との絆を深めています。
しかし、そういった素晴らしい生活を満喫するには、閉経前も閉経後も常に健康に特別な注意を払う必要があります。

閉経後の女性は、新しい自由と選択肢を手に入れるとともに、特定の疾患のリスクが高まるという事実に直面します。十分な情報を得て、積極的に健康管理をすれば、多くの疾患が全てコントロールでき予防が可能になるというのは嬉しいニュースです。

●身体の変化

更年期とは、女性の人生において永久に月経が止まってしまう時期のことです。また、出産可能な期間の終わりも示しています。この段階的な変化は、通常45歳から54歳の間に起こり、1年間生理が無い場合、閉経したとみなします。しかし、子宮摘出手術(子宮をとる手術)や、子宮摘出と同時に行われることの多い卵巣摘出手術を受けた女性は、年齢に関わらず閉経します。

閉経後、何年か経つと、心臓病、ガン、骨粗しょう症など女性にとって重大な健康の問題が起こる可能性があります。現在、自分は健康だと感じている人でも、このような疾患の危険にさらされています。理由は、こうした疾患のリスクを高める生物学的な変化の多くは、静かに起こり、症状もないからです。症状をコントロールするために何か手を打たないと、時間の経過とともに悪化する傾向があります。このようなリスクの軽減やコントロールのために、今、行動を起こすことが、長期にわたりより健康で強い身体の維持に役立つのです。


●閉経後の健康のリスク 

○心臓病

冠状動脈性心臓病とは心臓血管の疾患のことで、心臓発作の原因になります。出産可能期間中の女性の体内では、心臓病から身体を守るエストロゲンが生産されています。しかし閉経すると、エストロゲン値が下がり、心臓病にかかるリスクが高くなります。この他にも、心臓病のリスクを高くする症状や習慣があります。以下に例をあげます。

・喫煙
タバコを吸う女性の心臓発作が起こる可能性は、吸わない女性と比べて2~6倍も高く、一日の喫煙量が多いほど、この可能性は高くなります。喫煙は、脳卒中のリスクも高めます。

・高血圧
55歳以上の女性の半数以上は高血圧、または高血圧症です。最大血圧が140以上あるいは最小血圧が90以上の場合、高血圧症と考えられます。高血圧の症状が現れることは希ですが、心臓病、脳卒中、腎臓疾患などを引き起こす可能性があります。

・高血中コレステロール
女性の血中コレステロール値は、20歳から上昇傾向を示します。40歳頃から、さらに急激に上昇し始め、60歳までは上昇を続けます。心臓病でない女性の理想的なコレステロール値は200mg/dL です。240mg/dL以上の場合、「高い」とみなします。しかし、ボーダーライン値である200-239 mg/dLにあてはまる場合も、心臓病のリスクが高くなります。
血中コレステロールには「悪玉コレステロール」と呼ばれる低比重リポタンパク(LDL)と「善玉コレステロール」すなわち高比重リポタンパクの2種類があります。悪玉コレステロールの値が高くなるほど、心臓病のリスクが高くなります。一方、善玉コレステロール値が高いほど、リスクは低くなります。

・肥満
太りすぎの女性は、心臓発作、脳卒中、または特定のガンにかかる可能性が高くなります。肥満は、高血圧、高血中コレステロール、糖尿病の原因にもなります。

・運動不足
身体を動かさない人は、心臓病を発症する可能性が高くなります。運動不足は、心臓病に関連した疾患の直接的な原因になり、高血圧や糖尿などその他のリスク要因を発症する可能性も高くなります。

・糖尿病
45歳以上の女性が糖尿病にかかる可能性は、男性の2倍になります。この疾患が重くなると、心臓病、脳卒中、また、その他の疾患のリスクを高くします。


○ガン

閉経後は、特定のガンのリスクが高くなります。そのようなガンの種類とは以下のとおりです。

・乳ガン
女性のガンで、一番多いのが乳ガンです。50歳以降の発症率が高くなります。母親や姉妹、娘などの血縁者にガンにかかった人がいる場合、リスクはさらに高くなります。その他のリスク要素として、早発月経(12歳未満)、遅発閉経(55歳以上)、30歳以上の初産、出産経験無し、などがあげられます。異型過形成という乳房の疾患や、マンモグラフィによる高い乳房の組織密度もガンのリスクを高くする可能性があります。

・肺ガン
女性のガンによる死因の第1位は肺ガンです。喫煙が最大の原因ですが、一部の研究では、繰り返し副流煙にさらされたり、アスベストやラドンなどガンの原因になる物質のある職場で勤務することも非常に危険であると示唆されています。

・結腸直腸ガン
このガンは、大腸を襲います。一般的に50歳を過ぎるとかかりやすくなります。加齢とともに、リスク要素には、結腸直長ガンの家族歴、本人の既往歴、慢性炎症性大腸炎(特に潰瘍性大腸炎)の既往歴、未治療の結腸や直腸ポリープ、高脂肪高カロリーの食生活なども含まれます。

・子宮ガン
女性の生殖器官のガンの中で最も一般的なのは子宮ガンです。また、50歳以上の女性は子宮ガンにかかる可能性が高くなりますす。その他のリスク要素には、糖尿病や、高血圧、肥満などがあげられます。さらに、子宮内膜増殖症という疾患や、結腸ガン、直腸ガン、あるいは乳ガンを患った経験のある女性は、子宮ガンを発症する可能性が高くなります。


○骨粗しょう症
骨粗しょう症とは、骨を弱く、もろくし、骨密度を低くする原因になる疾患で、高齢の女性に多くみられます。何の症状もなく数年にわたって骨密度が低下していきますが、この疾患は、骨盤、背骨、肋骨、手首などの骨折の主な原因となります。閉経後の女性は、エストロゲンの生産量が低下するため、骨粗しょう症のリスクが高くなります。その他のリスク要因として、骨格が華奢な人、骨粗しょう症の家族歴がある人、カルシウムの少ない食生活、特定の薬の服用(コルチステロイドなど)、日常の運動不足、喫煙、アルコールの多量摂取などがあげられます。

(パートⅡに続く)

投稿者 : kenkoo 09:35

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